筑波大医学群。
建物間の移動は自転車で行うことも多いという。
筑波大学医学群がセキュリティドアを導入するに至った経緯を教えてください
オープンキャンパスである筑波大学医学群は、塀も門もありません。その上、建て増しを繰り返していたため全体のセキュリティを考えた設計になっておらず、部外者は誰でも入れる構造で、防犯上の盲点が多くありました。
実際にパソコンなどの盗難が頻発していましたし、2002年には部外者が研究室に侵入、放火し、研究室が全焼、中の機材がすべてダメになるという被害が起きました。当時は監視カメラだけ設置してある状況でしたが、犯罪が起きた肝心なところが写っていないなど十分な効果がなく、いよいよ本格的なセキュリティ対策をしなければならなくなりました。しかし、問題は予算でした。

広大な敷地の筑波大学。
建物に塀や門のない「オープンキャンパス」が特長。
建物に塀や門のない「オープンキャンパス」が特長。
セキュリティ設備にはあまり予算がかけられなかったということでしょうか
そうです。筑波大学では、各学群が独立採算制を取っています。支出は各学群の年間予算の範囲ですべてをまかなうことになっており、セキュリティ費用に限らず、臨時予算は大学からは出ません。あくまで、医学群の予算から余ったお金をセキュリティに回すしかなかったため、予算は限られていました。当然、すべてのドアに一度に導入することは難しく、まずは2~3カ所を入れてみて、その後に毎年少しずつ拡張させていくというやり方を取らざるをえませんでした。
学群内のネットワークを担当する私(照井教授)が中心となり、ドアのセキュリティ対策を行うことになりました。そこで、インターネットで検索し、数社の製品をピックアップしました。